身近な人が亡くなった場合に、不動産や財産を相続するのと同じように、ご先祖のお墓もその時の祭祀承継者が引き継いで行きます。祭祀承継者は予め指名されていることが多く、指名がない場合は慣習や親族間での話し合いにより承継者が選ばれます。それでも決まらない場合は家庭裁判所という流れになるそうです。少し固い話になりましたが、今回は色々と考えさせられる祭祀承継者についてのお話です。
1.認知症
2.突然祭祀承継者に
3.高額なお布施
1.平成16年に「痴呆」から「認知症」へと名称が変わり、年々増加傾向にある認知症。
2025年には700万人の患者数になると予想され、その数は東京都の人口の半分に匹敵します。認知症対応介護施設の不足や徘徊、介護放棄など問題も山積
していますが、もし祭祀承継者が認知症となった場合は、どうなってしまうのでしょう?
近年は親戚付き合いも少なくなってきていると言われ、お墓参りはかなり前に行ったきりで記憶も定かでないという方も多く、お墓はどこにあるの?そのお墓には誰が入っているの?など、聞いても答えはもう返ってこないという事態が起きています。
2.また、1の事例や祭祀承継者が不慮の事故による寝たきり状態や死亡などにより、突然、次の祭祀承継者になってしまう場合もあります。お墓の場所や墓地管理者が分からず、また何から手をつけたら良いのか悩んでしまうかもしれませんが、まずは親族によく相談しお墓の場所が分かれば、そのお墓がある市区町村役場で手続きが可能です。お墓が遠方にある場合は、墓じまいも1つの方法として考えられますので、親族とよく相談の上、費用も掛かるため、慎重に行って頂きたいと思います。
3.祭祀承継者の方は、お彼岸のお墓参りやお盆に仏壇のお供え物、法事の取りまとめや住職さんへの卒塔婆のお願いやお布施、会食の手配など、または寺院行事の参加などと色々あるかもしれません。
近年、お墓を建てる方、法事を行う方が減って、寺院運営が厳しいという記事を目にしますが、ある住職さんから高額なお布施や寄付を請求されたとか、高額な墓じまい費用、高額な離檀料、挙句の果ては仏壇供養など、目に余る事態の相談が増えています。仮にその住職さんが寺院運営が厳しいからと言ったとしても、他にも生活が厳しい方はたくさんいらっしゃいます。本来お布施は供養して頂いた感謝の気持としてお渡しするものだと思いますので、一定の金額を指定して請求したり、離檀料は〇〇万円など、おかしな話です。
衰退が続く檀家制度の中で、頑張って寺院運営を改革し檀家さんと共存を模索している住職さんが沢山いる中で、高額な金額をお布施と称して請求する住職さんの行動が他の宗教法人に迷惑をかけていることに気付いていないのでしょう。私がもしそこの檀家であるなら即離檀します。
上記以外にも様々な事情で祭祀承継者になってしまうことがありますが、だからと言って祭祀承継者は特別難しいことしなければならないものではありません。お墓に眠っている方々は、祭祀承継者になった方へ感謝していると思いますので、わからないことは親族でよく相談し、できる範囲でご先祖のお世話してあげればよいのではないでしょうか。その気持ちが一番重要です。堂々と頑張って頂きたいと思います。
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